電子カルテが使えなければ、既往歴、検査結果、アレルギー、投薬履歴などを迅速に確認できません。紙や電話による代替運用は職員の作業量を増やし、転記ミスや確認漏れのリスクを高めます。会計処理や診療報酬請求が滞れば、病院の収益や資金繰りにも影響します。
医療DXは医療の質と業務効率を高める一方、検査、投薬、手術、救急、会計、地域連携などがデジタルで結ばれるほど、一部の障害が全体へ波及しやすくなります。医療DXの推進とサイバーリスクへの備えは、表裏一体で進める必要があります。
まずは病院運営を支える事業者の洗い出しから
では、何から始めるべきでしょうか。医療のデジタル化が進む現在、サイバー攻撃は情報システム部門だけに任せておける問題ではありません。診療の継続、患者の安全、業務遂行、病院経営、さらには地域医療の維持にも関わる、経営層が向き合うべきリスクです。
さらに、院内でサイバー対策を講じていても、被害を防ぎきれるとは限りません。電子カルテベンダー、医療機器メーカー、保守会社、検査機関、クラウド事業者、給食委託業者など、病院は多くの外部事業者とつながっています。外部事業者への攻撃を足掛かりに侵入が院内へ及ぶ場合もあれば、その事業者のサービスが停止しただけで、病院の診療機能が停止する場合もあります。
そのため第一歩となるのは、診療や病院運営がどの事業者やシステムに支えられているかを把握することです。電子カルテや医療機器だけでなく、クラウド、保守、検査、予約、会計、給食、物流なども含め、接続先、委託先、再委託先、利用サービスを洗い出します。そのうえで、「この事業者が止まれば、どの診療機能に影響し、復旧までどれほど耐えられるのか」を整理します。


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