スプーンでひとすくいして、口に含む。深いコクがあり濃厚だ。後からバターのような風味が追いかけてくる。今まで食べたことがない味で、初めての食体験だ。
この香港マンゴプリン、中国上海のホテルのマンゴープリンがベースになっているそうだ。後に登場するてんじく代表取締役社長の山本昌史(まさふみ)さんがレシピを教わってメニューに取り入れた。ソースは、ココナッツミルクとバターを合わせている。中華定番の杏仁豆腐よりもオーダーされ、年間1万4000食が出ているという。
香港マンゴプリンが意外にもコク深い風味だったので、「自家製炊き出し烏龍茶」を注ぎにいき、口のなかをすっきりさせた。大満足で食事を終えた。
店内を見渡すと、サラリーマンはがっつりと定食を頬張り、シニア世代のマダムたちは単品を何品か注文して取り皿で分け合う。お行儀はよくないが、他の人たちは何を注文しているのだろうと横目で見てしまうのも、メニューが多彩だからこそのてんじくの楽しみかもしれない。
おもてなししすぎて、本店単体売り上げ3.5億円
創業1973年のてんじくを築きあげたのは、代表取締役社長の山本昌史さん(72)。17歳でおじの店で修業を始めて、19歳で独立。現在の8分の1の広さの約12坪、カウンター15席・テーブル8席の小さな中華料理店からのスタートだった。今や、2025年度の売り上げは姫路本店だけで3.5億円に上る。
「店舗によって違いますが、10名以上のご予約か、3000円以上のコースを5名以上でご予約いただくと、送迎バスを出しているんです。今は厨房を離れて運転手を担当しているんですが、神戸の店に淡路島の団体さんを往復送迎したこともなんべんもありますよ」(山本さん)
1995年の阪神・淡路大震災では、保健所の営業許可を持つ冷凍車とマイクロバスを活用して避難所に3000人分以上の食事を届けたという。
無料ドリンクバーは1987年から始まって39年目。2023年頃に「せめて100円だけでも」と値上げを検討したこともあるが、「お客様に喜んでもらいたい」との心意気が先行して今も「0円」据え置きだ。


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