この理論の核心は、「①2つの概念の距離」と同時に、「②その距離を一瞬で橋渡しする『一文』」があるかどうかにある。対象と既存の枠組みとの隔たりが適度であれば好意的な評価につながり、いきすぎれば拒絶反応を招くことは、心理学のスキーマ不一致理論でも示されている(※4)。
だとすれば、551蓬莱の手提げ袋にはこの「一文」が欠けていたのだろうか。
実は、そうではない。今回の自衛隊車両のイラストの下には「毎年9月1日は防災の日です」という趣旨の文言が、小さいながらもしっかりと印字されている。551蓬莱にも、橋渡しの一文はあったのだ。
なぜ「あったはずの一文」は機能しなかったのか
問題は、その一文が機能しなかったことにある。
J-CAST ニュースによれば、騒動のきっかけは「X上では25日ごろ、大阪で手提げ袋を持った客らの姿を撮った写真が投稿され」たことだった。多くの人が「気味悪い」と感じたのは、袋を手に取ってじっくり読んだ瞬間ではなく、街中で誰かが持っているのを遠目に見た、あるいは投稿された写真越しに見た瞬間だ。
この距離・解像度では、小さな一文はまず読み取れず、目に飛び込んでくるのは迷彩色の車両とヘリコプターのイラストだけになる。
先述したAg+の場合、銀色というボトルの色そのものが、遠目からでも一瞬で「殺菌・清潔」を伝える橋渡しの役割を果たしていた。文字ではなく色に橋渡しを託していたからこそ、どんな距離・解像度でも機能したのだ。
551蓬莱の一文は、近づいて読まなければ意味をなさないほど小さく、この違いが明暗を分けたと考えられる。


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