ただし、ここでもう1つ疑問が残る。相反する2つのイメージがぶつかり合うこと自体は、必ずしも悪いことではないはずという点だ。実際、私が資生堂時代に手掛けた別の商品では、まったく逆の結果が生まれていた。
2つの「異なるイメージ」がぶつかり合うこと自体は、興味を生む力に
私が資生堂時代に携わったヒット商品の1つに、デオドラントスプレー「Ag+(エージープラス)」がある。01年の発売時、テレビCMを一切打たずに口コミだけで大ヒットし、各店舗のデオドラント棚で売上No.1を獲得した。
この商品の核心は「銀イオンによる殺菌消臭」という技術だった。それを伝えるために採用したのが、銀色一色のボトルと「Ag+」という商品名だった。手に取った瞬間に「これは銀イオンの商品だ」と直感的に伝わるよう、パッケージのすべてを1つのコンセプトに統一したのだ。
私はこれを「イメージ・モチーフ理論」と呼んでいる。商品コンセプトを象徴する銀イオンをボトルの色とデザインで表現し、商品名・機能・役割にまで一貫して関連づける手法だ。
この理論の核心は、「①商品カテゴリー」と「②デザインに取り入れたモチーフ」が、本来は直接結びつきにくいものであるほど、そこに「違和感」が生まれ、その違和感が「これは何だろう」という興味に転じて、商品を手に取ってよく見る、調べるという行動につながる、という点にある。
「デオドラント×銀色パッケージ」は一見結びつきにくい組み合わせで、最初は違和感を覚える。しかし「銀イオンによる殺菌消臭」という機能を知れば無理なく納得できる。だからこそ違和感が興味に変わり、手に取ってもらえたのだ。
つまり2つの異なるイメージがぶつかり合うこと自体は、興味を生む力にもなりうる。551蓬莱の手提げ袋で起きた「顔の衝突」も、本来なら興味へと転じてもおかしくなかったはずだ。では、なぜそうならなかったのか。


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