また、日曜日の朝、親との電話で「風邪を引いた」と話していたことも明らかになりました。実際、自宅から市販の風邪薬とレシートが見つかっています。
じつは、くも膜下出血で亡くなった人が直前に風邪を引いていたケースは珍しくありません。風邪を引くと自律神経が乱れて血圧が大きく変動し、動脈瘤が破裂するリスクが高まるためです。
動脈瘤破裂は、排便、運動、性行為など「血圧が瞬時に上がる状況」で起こりやすいものですが、そうした状況以外でも、血圧高めで脳血管に動脈瘤があれば、ちょっとした血圧の変動で発症することがあります。
そもそも脳の血管は複雑に枝分かれしており、動脈硬化があるとこぶができやすい性質があります。動脈硬化で血管の壁が固く、もろくなると、血液の流れに流体力学でいう乱流が生じてこぶが形成されるのですが、分岐部付近ではさらに強い負荷がかかり、その傾向が顕著になります。
頭蓋内は閉鎖空間で、脳や髄液がパンパンに詰まっています。そのため、たとえ小さなこぶの破裂でも、出血ですぐに脳が圧迫され、短時間で命を落としてしまうのです。
脳血管疾患は圧倒的に男性が多く「30代から急増」
日々解剖していると、今は20代であってもうっすらと動脈硬化のある人が多いことを実感します。動脈瘤の原因となる動脈硬化を防ぐためには、食事や睡眠、喫煙、飲酒などの生活習慣を改善することが何より重要です。
東京都監察医務院の令和6年のデータによると、脳血管疾患で突然死して検案、あるいは検案と解剖された人の数は加齢とともに増えていき、30代から急増。働き盛りの30〜50代では男性の死亡数が圧倒的多数となります。


※ログイン後、コメント入力が可能です。