次に頭部を解剖します。まず、メスを使ってヘッドホンのヘッドバンドと同じ向きに頭皮を切り、前後に剥いて頭蓋骨を露出させます。次に、専用の電動カッターで頭蓋骨に横一周の切り込みを入れます。
最後に、T字ノミとハンマーで頭蓋骨を切り離し、パカッと外せば準備完了です。
脳を覆っている硬膜をハサミで切り開いてから、大脳・小脳・脳幹をひとかたまりで取り出し、各部位を詳しくみていきます。すると、鈴木さんの大脳底部のくも膜下腔にはベチャッとした血腫(血のかたまり)がありました。
ピンセットで血腫を除けて出血源を探します。しばらくすると内頸動脈と中大脳動脈の分岐部付近に小さな「こぶ」が破裂している個所が見つかりました。わずか1ミリほどの動脈瘤です。
過去にピンポン玉大の動脈瘤ができていた人をみたこともありますが、多くの場合は数ミリ、たとえるなら米粒ほどです。しかし、小さくてもある日突然破裂し、あっという間に働き盛りの人の命を奪ってしまうのです。
鈴木さんの場合、くも膜下にある脳底部の血管にできた動脈瘤が破裂して、くも膜下腔と呼ばれる空間に血がたまり、脳が圧迫されたことで死に至ったと考えられました。死因は「くも膜下出血」となりました。
「風邪」が動脈瘤破裂の引き金に
44歳とまだ若かった鈴木さん。なぜくも膜下出血を発症したのでしょうか。
鈴木さんは痩せ型で、血圧が高そうにはみえません。しかし、警察のその後の調査により、会社の健康診断で2年連続「血圧高め」を指摘されて経過観察中であり、病院にはかかっていなかったことがわかりました。


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