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解体に8.3億円の負の遺産…衰退する温泉街の《巨大廃墟》をどうする? 「壊す」でも「放置」でもない"まさかの一手"

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かつて負の遺産と呼ばれた廃墟が、水上温泉街の新たな資産へ。壊さず再生するという前例のない挑戦の先に、新しい未来が見え始めている
「負の遺産」だった廃墟が温泉街の「新たな資産」へ。壊さず再生するという挑戦を取材(写真:筆者撮影)
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増改築で構造の異なる建物が無理に接続され、図面と現場が食い違う旧一葉亭。その履歴を読み解きながら切り離す場所と残す場所を見極めていく作業は、「見積もりすら断ったゼネコンもいた」というほど難易度が高かった。

解体の過程で姿を現した、建物に食い込む岩盤(写真:筆者撮影)

神本氏は「利根川に迫り出し、谷川岳をはじめとした山々の眺望を生かしたフロアや機能の検討と、整備・運営の収支が成立するプランを両立させるという点が、一番難しさを感じたところです」と振り返る。

さらに、既存の建物には増改築を重ねる中で建築基準法上違法となってしまった可能性がある部分も多く、解体は長年の増改築によって複雑になった法的な状態を整理し、再び適法に活用できる状態へ導く作業でもあった。

客室への通路を確保するため、構造を支える横梁をくり抜いた跡。増改築の過程で、こうした改変が繰り返されていた(写真:筆者撮影)

70年ぶりに戻ってきた山と川

段階を追った作業の末、2024年秋に減築工事が完了した。2021年春に遊技場等を、2022年秋に新館を、2023年夏に第一別館等を──約3年をかけて少しずつ建物を減らしていく、気の長い作業だった。

最大7〜8層あった建物が低層化されると、これまで遮られていた景色に変化が生まれた。高い建物に遮られていた越後山脈や谷川岳の眺望が開け、景色の抜けがよくなったのだ。「70年ぶりに山の風景や川音、SLの汽笛を町に取り戻す」という、当初から再生建築研究所が掲げていた狙いでもあった。

その狙いは、まさに実感を伴って地元に届いていた。「川の音ってこんなに聞こえたんだ」「山ってこんなに近かったんだ」――みなかみ町には、地元住民からそう驚きの声が寄せられることが多かったという。設計者たちが描いていた「風景を取り戻す」という狙いが、暮らす人々の実感として初めて言葉になった。

低層化された建物の向こうに、これまで遮られていた山並みが見える(写真:筆者撮影)
構想イメージ(写真:株式会社Staple)
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