その甲斐あってか、専門学校では多くの友人に恵まれた。
大学時代は周囲と交わらず、2留の末卒業した福田さん。「それまでの人生で、孤独が身についてしまっていた」彼にとって、専門学校での生活は「初めての楽しい学生生活」であった。当時の印象的なエピソードを、笑顔で語ってくれた。
「ちょっとチャレンジをしようと思って、やりたかったダンスの授業を取ってみたんです。得意じゃないし振り付けも覚えられないし、やっぱり全然上手くならなくて。しかも、周りの子たちは年下ばっかり。でも、教えてもらって練習している間に、友達がたくさんできたんですよ。家にみんなを呼んで、大学時代にバイトで覚えた料理を振る舞ったりしました。もともと趣味でやっていた作曲も、周囲と関わるきっかけになりましたね」
「与える側」から「教えてもらう側」になり、自分をさらけ出して人と関わった結果だ。福田さんがこの経験から感じたのは、「とにかく飛び込んでやってみる」ことの大切さだった。
「やってみよう、と思えたことが、一番大きいことだったと思います」
「やってみたい」に素直になること、周囲に助けてもらうこと。これらは本来、子ども時代に経験できることなのかもしれない。しかし、福田さんに限らず、知的能力が高いことで「子ども」としての経験が難しかった、と語る人は少なくない。「大人びた子」として自分の欲求を後回しにしてしまったり、教師からもそういう扱いを受けたり、同世代とスムーズに打ち解け合うことができなかったり、といったことが理由である。
大人になった福田さんは、ようやく「子どもらしさ」を取り戻すチャンスを得られたのだ。
「心が通じ合う」仲間の存在
福田さんは現在、ピアノ調律師として働いている。「一つのことにものすごく集中できる」という性質が、ピアノと長時間向き合い続ける仕事にはぴったり、とのことだ。
「ピアノの機械部分を、調整したり修理したりしています。集中力は12時間くらい途切れません。効率を考えながら取り組めるので、作業スピードもかなり速いと思います。食事すら取らずに作業してしまうこともあり、ほどほどにしたいですね……」


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