有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

廃墟だった温泉旅館の《社員寮》をDIY…「壊したら二度と作れない」と東大生が解体を止めた"奇妙な路地裏"の今

9分で読める
旧ひがき寮
かつて温泉旅館の社員寮だった「旧ひがき寮」。廃墟となってからは蔦に覆われ、窓は割れ、朽ちるに任せていたが…(写真:ミナカミロジウラ部)
2/6 PAGES

旧ひがき寮の"ひがき"は、この前身のホテル名に由来する。その敷地は本館・別館・新館・エネルギーセンターなどに分かれており、旧ひがき寮はそのうちの従業員寮にあたる建物だった。

蔦に覆われ、窓は割れ、朽ちるにまかされていた旧ひがき寮。この建物が発見されたのは、東京大学の学生たちが再生に向けた調査のため、敷地内を巡っていた途中のことだ。

発見当時の旧ひがき寮。1967年頃に建築されたと見られる(写真:ミナカミロジウラ部)

使用する予定もなかったため、すぐに取り壊されてもおかしくない。しかし、その姿を目にした学生たちは「取り壊してしまえば、二度と同じ雰囲気は再現できないのではないか――この空間をどうにか生かしたい」と声を上げた。

当時はまだ、具体的な活用アイデアがあったわけではない。それでも、その声を尊重する形で旧ひがき寮は解体を免れ、そのままの姿で残されることになった。

二度と、同じものは作れない

「二度と同じ雰囲気には出会えない」その感覚は、単なる感傷ではなかった。調査を進めることで、旧ひがき寮は建物の状態や建築の方法が現行法に則していないことが分かったからだ。今この場所を新しく建て直したとしても、法律上、あの奥まですぼまる路地や独特のたたずまいは二度と再現できない。そもそも、整備すれば莫大な費用がかかる。

旧ひがき寮は2階建てのメゾネット形式だ(写真:筆者撮影)

そこで考えたのが、建物自体はそのままに、マルシェの会場として活用するアイデアだった。耐久性の心配があり、同時に大人数が2階に上がったり、継続的に居住することは難しいが、軒先をお店のように使うことはできるのではないか。

3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数