2022年秋、役場の職員や学生たちが総出で草刈りを行い、建物内部を片付け、ここを会場のひとつとして「廃墟再生マルシェ」が始まった。地域の創り手たちが軒先に品物を並べる、年に一度の市だ。
地域のつながりが導いた、創り手3人の出会い
実は「ミナカミロジウラ部」という団体は、この時点ではまだ存在していなかった。転機となったのは2024年6月のことだ。初期から関わっていた学生の一人の中に芽生えていた「アートを軸にこの場所を活用したい」という構想が、小さなプレゼンテーションと意見交換会という形をとる。しかし、それを実現するには、実際にものをつくる"創り手"側の視点が欠かせない。
そんな中、地域のゆるやかなつながりをたどり行き着いたのが、akikoさん、櫻井園子さん、桑原早恵樹(さえき)さんの3人だった。
手織りや草木染めなどを手がけるakikoさんは、地域おこし協力隊員としてみなかみに来た際に東大生メンバーの一人と知り合い、プロジェクトの存在を知る。トールペイント作家の桑原さんは地元の縁で学生たちと出会ったが、akikoさんとも知り合いだった。
手作りのキャンドルなどを手がける櫻井さんは、2つめの生活拠点であるみなかみに滞在するうちにアトリエが欲しい気持ちが強くなった。するとなじみの飲食店の女将から「いいところがあるわよ」と、旧ひがき寮とプロジェクトの存在を紹介されたという。
実はこの3人、個人的なつながりだけでなく、すでに出店者としてもこの場所に関わっていた。意見を求められたことをきっかけに、単なる出店者から、この場所を一緒につくっていく側へ――それが3人にとっての分岐点だった。


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