ヴェゼル検討からRAV4購入への着地から4年半が経過した25年3月、彼女は再びクルマの買い替え期を迎える。この時、彼女の頭の中でホンダが購入の候補に入ることはなかった。彼女が購入したのは、ダイハツの軽自動車「ムーヴキャンバス」だ。
ホンダに対する現在の彼女のイメージは次のとおりである。
「ホンダは、昔からよく知っているメーカーですし、悪い印象は特にないのですが、今の自分の生活や好みの中では、そこまで強く意識するブランドではなくなっているかもしれません」
なぜホンダは、検討の土俵にすら上がれなかったのか。そこには、彼女自身のライフステージ変化に伴う好みのシフトと、その結果マッチしなくなったホンダのブランドイメージがあった。
「昔はもう少しスポーティな外観がいいなと思っていた時期もありましたが、今は夫と2人の穏やかな生活に馴染む、可愛らしさやカジュアルさ、日常での実用性を大事にするようになりました。趣味として尖った車に乗るより、今の生活に馴染むクルマがいいんです」
「ブランドへのこだわり」から「実用・カジュアル価値」へ
この価値観の変化もまた、彼女特有の好みではない。同セグメント(40代女性・既婚・子なし・パートタイム勤務)のクルマに対する価値観データを見ると、「クルマはあくまでも移動手段」への肯定派が66%に達する。
つまり、「ブランドへのこだわりが薄れ、自分の生活に優しく馴染む実用・カジュアル価値を求める」というのは、この世代の女性たちが年齢を重ねるにつれて迎える、自然な意識の変化なのだ。
問題は、この「可愛い・カジュアル・おしゃれ」という感性価値が求められる(一部の)軽自動車市場において、ホンダの存在感が希薄であることだ。
実際、24〜25年に「ムーヴキャンバス」を購入した女性が、最後まで購入を迷っていた競合メーカーのシェアを見るとよくわかる。
1位はダイハツで26%。これは一般に購入した車種と同一メーカー内での比較が最も多くなるので納得の結果だ。2位はスズキで23%。ホンダは3位には入るが8%となっている。


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