成長を続けるペットフード市場だが、この55年でどう変化してきたのだろうか。
「昭和の時代、犬や猫は外飼いが当たり前でしたが、だんだん室内飼いが増えていきました。それに伴ってワンちゃん、猫ちゃんが家族の一員として認識されるようになり、猫まんまのようなご飯から、ちゃんと栄養を取れるものをと、ペットフードの栄養成分が見直されてきました。
室内飼いが一般的になったことでペットの便のにおいが気になるというお声が増え、開発された製品もあります。2023年に発売した『プレミアムドッグメンテナンスミルク』はビフィズス菌などを配合することで、腸内の善玉菌を増やして腸内容物を分解する働きがあります。便臭を抑える効果があると、今すごく伸びている商品です」(丸山さん)
「大切なペットにいいものを与えたい」意識の高まり
またペットの健康意識が高まったこともあり、平均寿命も犬は14.82歳、猫は16.00歳を記録している(ペットフード協会 令和7年全国犬猫飼育実態調査より)。
「ペットの健康管理のために機能性を持った高付加価値製品のニーズも高まっています。弊社ではアレルゲン対応の商品や、シニア向けフード、動物病院専門療養食なども展開しています」(丸山さん)
長寿化で介護が必要なペットも増えているが、同社では犬用の介護食も販売。粉末をぬるま湯で溶かして与える商品で、ぬるま湯の量が多ければペースト状に、少なければお団子状になり、歯ごたえや噛み応えの調節が可能。咀嚼力がなくなったシニア犬も舐めるだけでご飯が食べられる。
「飼い主さんがSNSなどからペットフードの情報をたくさん収集されて、意識が高くなっているのを感じます。近年は、ミネラルをとりすぎると結石や腎臓病の原因になるため、少しでも与える量を減らしたいという方が多いです。そこで弊社は25年から、『ミネラルゼロのペットの純水』を販売開始しました。天然水からミネラル成分と不純物を取り除いたもので、一般的なミネラルウォーターの2倍以上の値段になりますが、売れ行きが大変好調です」(丸山さん)
金額にかかわらず、大切なペットにいいものを与えたいという風潮は高まっているという。
「SNSで『この商品のおかげで、うちの子がすごく喜んでます』『ちょっと体調が悪かったとき、これで元気になりました』など、ワンちゃん、猫ちゃんのかわいい写真付きで商品への嬉しいお言葉をたくさんいただくのですが、それが私たちの癒やしとモチベーションになっています」(小島さん)
後編では、森乳サンワールドが世界で初めて開発したジャイアントパンダ用ミルクの誕生秘話や、全国の動物園や水族館とのつながりについて詳しく聞きます。
(後編:『「万が一があったら…」パンダ用人工ミルク開発を決めた日本企業の舞台裏 「クマ、ゾウ、アザラシ…」"ニッチなミルク"を作る理由』)


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