全国でも上位の戸塚校に入った彼女を待っていたのは、飛び抜けて優秀な同級生たちだった。一番上のクラスに入れないこともあったが、彼女の心を動かしたのは嫉妬ではなかった。
「悔しいというよりは、本当に魅力的だったんです、この友達たちが。一緒に追いつきたい。同じ学校に行きたい」
人のいいところを見つけ、憧れ、動く。この動力は、この後の彼女の人生を一貫して駆動していく。
演劇部に熱中→東大を目指す
中高は、横浜の名門女子校に進んだ。
そこで彼女は演劇部に没頭する。
「部活のために学校に行っています」という日々。朝6時50分に校門前に並んで朝練。授業中は机の下で小道具を作り、昼休みと放課後は脚本の打ち合わせ。門が閉まる午後6時まで練習し、その後もファミレスで脚本について話し合う。
休日の活動が禁じられていても隠れてやり、修学旅行に画用紙を持っていって現地で作る。
「いかに隠れて楽しいことをするかばっかり考えていました」
当然のごとく、成績は最悪だった。通信簿の「3」をペンで「8」に加工して親に見せたこともある。母が求めたのは全部「10」だけなので、改ざんした通信簿は一目でバンッと投げ捨てられ、結果的に小細工はバレずに済んだ。今だから笑って話せる話である。
受験勉強に向き合うのは遅かった。
きっかけとなったのは高2の春、母が勝手に申し込んだ東大受験生向けの合宿だった。「この成績で東大なんて行けるわけなかろう」と冷めていた彼女は、そこで東大を目指す同世代や現役の東大生と寝食を共にした。競争しながら、お互いを称え合う空気。
「こんなに素敵な人たちと、一緒の道を歩きたい」
高3の後半、彼女は1日14時間の勉強計画を立てた。1時間ごとに教科を変えて、自習室で12時間、帰宅後に2時間。
頭のいい子と同じやり方では勝てないと判断し、教わっていることの本質を理解するというよりは、「あくまで出題された問題に答えらればいい」という戦略に徹底的に切り替えた。
「テストの点数さえ取れれば合格」という割り切りに、部活で鍛えた集中力のすべてを注いだ。


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