国際色豊かなゲストも集まった。ジェロームさんの友人たちが大勢フランスから訪れたのだ。母国の違う二人の結婚式で、ゲスト全員に楽しんでもらうために工夫したのは、スピーチの翻訳だ。
ジェロームさんの友人はフランス語で話し、珠緒さんの友人は日本語で話すため、ゲストたちがその内容を理解できるように、あらかじめスピーチ原稿をもらい、それぞれの国の言葉に翻訳して印刷物を準備した。
フランスと日本どちらかの文化に合わせるのではなく、二つの文化が自然に混ざり合った結婚式は、今でも親族との話題に上ることもある。みんなの記憶に残るイベントとなった。
二つの国をもつ娘
結婚式を挙げてから、20年の月日が流れた。現在、夫妻は16歳になる娘とともに東京で暮らしている。ジェロームさんはフランス系投資銀行の日本法人に勤め、珠緒さんは美術館で学芸員として働く。
当初、夫妻が日本に住むのは2~3年の予定だった。日本に住んだ後は機会があればフランスに住みたいとも考えていたそうだ。しかし、リーマンショックの影響でジェロームさんが起業するなど仕事上の変化が続き、二人は現在までほとんどの時間を日本で暮らしている。
そのため、日本とフランス、二つの国のルーツをもつ夫妻の娘は、日本生まれ日本育ちだ。
娘の名前をつけるときに、彼女のアイデンティティについて二人は考えた。日本とフランスのルーツをもつ場合、日本の名前とフランスの名前の二つをもつ子供が多いそうだ。二人は話し合った結果、一つの名前で日本でもフランスでも通用するように「クレア(クレール)」という名前にした。どちらの国の人も発音しやすい名前だ。漢字では「久玲安」と表記する。


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