つまり、日本で金利が上がっても、それがアメリカへの投資を減らして、日本への投資を増やすということにはならないだろう。ただ、保険会社(とくに生命保険会社)の資産運用には、かなりの影響を与えている可能性がある。
保険会社は負債面で長期の債務を抱えているので、それに対応して長期投資が必要になる。したがって、日本の長期金利が上昇することによって、アメリカの国債ではなく、日本の国債への投資が進んでいても不思議ではない。
この意味において、日本の長期金利の上昇はアメリカ国債の需要を減らすことになってきた可能性がある。そして、アメリカの金利を引き上げる1つの要因になっていた面も否定できない。
「長期国債の買い戻し拡大」という異例の一手
ただし、アメリカ金利上昇の主因が日本だ、とまではいえない。
アメリカの30年国債利回りが5.3%を超えた最大の理由は、アメリカ自身の問題だ。とりわけ、巨額の財政赤字と政府債務、国債の大量発行、原油高によるインフレ懸念などである。また、AI(人工知能)関連の巨額投資を賄うための社債発行も急増しており、債券市場全体で資金需要が強まっている。
したがって、「日本の金利が上昇したからアメリカの金利が上昇した」と単純化することはできない。より正確には、「アメリカ自身の財政・インフレ問題によってアメリカ国債に売り圧力がかかっていた。そこに、日本国債の利回り上昇によるアメリカ国債の相対的魅力の低下が、追加的な金利上昇要因として作用した可能性がある」と考えるべきだろう。
こうした状況の中、アメリカ財務省は8月19日、長期国債の買い戻しを拡大すると発表した。10年から30年の長期国債を対象とする流動性支援目的の買い戻しについて、1回当たりの規模を従来の最大20億ドルから、少なくとも40億ドルへ倍増させるとしたのだ。


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