政府の財政赤字が拡大し、国債発行額が増えると予想されれば、将来の国債需給やインフレ、金利変動についての不確実性が高まる。その結果、投資家が長期国債を保有するために、より大きなリスク補償を要求するようになり、タームプレミアムが上昇する可能性がある。
日本では、高市内閣の積極的な財政政策に伴う国債発行の増加への警戒が、長期金利を押し上げる要因となっている。アメリカでも、巨額の財政赤字と国債発行の増加が市場で強く意識されている。さらに8月には、中東情勢の緊迫化と原油価格の上昇がインフレ懸念を強め、長期債の売りを加速させた。つまり、両国とも将来の財政に対する危惧が長期金利を引き上げている。
これは、アメリカにとって無視できない問題だ。金利が上昇すれば、経済活動が圧迫される。とくに中間選挙直前のアメリカでは、政治的に大きな問題だ。
逆回転し始めた機関投資家の動き
重要なのは、日本の長期金利の上昇がアメリカの長期金利に影響を及ぼしている可能性があることだ。
日本は世界最大級のアメリカ国債保有国であり、日本の銀行、生命保険、年金などの機関投資家は巨額の資金を海外債券で運用してきた。それは、これまで日本国債の利回りが極端に低かったからだ。
ところが、この数年、日本国債の利回りが上昇し、状況が変わってきた。今年8月には、日本の30年国債の利回りが4%を超えた。これだけの利回りが国内で得られるなら、日本の長期投資家が為替リスクや為替ヘッジのコストを負担してまでアメリカ国債を購入する必要性は以前より低下する。
ロイターは、日本国債が長年ほとんど利回りを生まなかった状態から、再び投資対象として魅力を持ち始めていると報じた。長期国債の利回りがアメリカ国債などとの比較でも競争力を持つようになり、日本の資産運用会社が日本国債を対象とする商品を増やす動きも起きているという。
このところの長期金利の上昇は、将来の変動に対するリスクプレミアムの上昇によって引き起こされている面が強いので、日本国債が有利な投資対象になったことを意味するものではない。だから、一般の投資については、これが日米間の資本移動に直接の影響を与えることはないはずである。


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