昨年の横山裕もまた、家庭の事情などで苦労した経験が走る動機になっていた。
家庭の経済的困窮があったため、横山は中学卒業後就職して建設会社で働いた。そこに母親の病が重なり、2人の弟は児童養護施設に世話になることになった。
やす子の場合とも重なるが、横山はいま広がりつつある「子どもの貧困」を憂慮し、困窮する子どもへの支援のきっかけになればと考え、マラソンを走った。番組でも現場の状況を自らリポートし、「マラソン子ども支援募金」が設けられた。
そして今年の星野真里は、10歳になる娘のことが動機になっている。
娘は国の指定難病「先天性ミオパチー」を抱え、大きな手術も控えている。だが前向きさを忘れない彼女の言葉に励まされ、社会福祉士の資格も持つ星野はマラソンへの挑戦を決意した。今回は、分け隔てなく子どもたちが自らの居場所を選べるよう支援する「できた!を増やす子ども募金」が目的別募金としておこなわれる。
第1回の放送で大橋巨泉が訴えたこと
このように、マラソンランナーたちの“走る理由”が、福祉の当事者としての経験に基づいたより具体的なものになってきた。
とはいえ、問題の根本的解決のためには政府など社会全体が動く必要がある。確かに『24時間テレビ』を見た視聴者が心を動かされ、募金することは貴重な支援になる。だが個人の善意がいくら集まったとしても、やはりそのうえで公的な仕組みを整える必要がある。福祉とは本来そういうものだろう。
第1回の総合司会だった大橋巨泉が発したメッセージを思い出す。大橋はわざわざ放送中に時間を取って、こう訴えた。「確かに有意義な番組ですが、本来は政府がやるべきだということを忘れないでください」(大橋巨泉『ゲバゲバ70年!』)。
「社会的包摂」や「共生」という言葉も浸透しつつある近年、福祉に求められるものも50年ほど前とは変わってきている。だがこの大橋のメッセージが持つ重みは、いまも変わらないはずだ。


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