エアコンは応急処置としては有効としつつも、それに頼りきりにならず、環境を改善するローテクな努力がされていることがわかります。それはなぜなのでしょう?
3. エコロジー的要因:エネルギーを消費し、外気の気温を上昇させるエアコン設置よりも、まず断熱
「室内の温度を下げてくれる代わりに、屋外に熱を排出するエアコンが、本当の意味での解決策になるのか? 外で働く人たちに対して不平等ではないか? パリ市民からはこういった声も聞かれます。エアコンを否定するわけではなく、これまで気候変動対策を怠ってきた政治的指導者に対する、責任追及の意味で発せられています。エアコンは、病院や老人ホーム、保育園などには急遽必要。『女中部屋』や、リノベーションが間に合っていない低所得者住居にも必要でしょう。
しかしエアコンは長期的に見ると、外気の温度を上げ、エネルギーを消費し続け、CO2を発してさらに気候変動を加速し、負の連鎖から逃れられなくなることは明らかです。だからこそまず断熱です。建築基準がRT2012(※)からRE2020(※)に変わり、冬を意識した断熱に加えて夏の過ごしやすさも追求されるようになりました」
※RE2020=「RT2012」を更新し基準を高めたもの。2022年1月1日から段階を追って適用が始まった。使用電力を抑えるだけでなく発生するCO2量も抑え、さらに夏の快適さが盛り込まれている。例えば、住居の正面と裏側に窓を設置し、風が通り抜ける構造を義務付け。
「またパリ市には、ごみ焼却の熱で集合住宅の暖房を供給するシステムがあるように、セーヌ川の地下の冷気を使った冷気供給システムが存在します。フランス国民議会やルーブル美術館、ギャラリーラファイエット、ホテル、オフィスなど、パリ市内にある多くの施設がこの冷房システムを導入していることをご存知でしたか?

