にもかかわらず、エアコンを設置できないばかりか雨戸もつけられず、ジンクの屋根を他の素材に変えることもできない。ABFの存在意義はあくまで保護ですから、譲歩の余地がないところが問題です」
応急処置として金と銀のエマージェンシーシート(救命シート)を窓の外側に貼り付け、熱射をしのいでいる病院や学校、住居。見ていて痛々しいですし、景観保護の観点からも、雨戸の方に軍配が上がります。雨戸設置が急務であることは、一目瞭然です。
室内の温度を最大17度下げる屋上や壁面、中庭の緑化
パリ市庁舎そばにある「アカデミー・デュ・クリマ」(環境に捧げられたサードプレイス)にて、スタートアップROOFSCAPESが行った実験によると、屋上や壁面、中庭を緑化することで、室内の温度を最大17度下げることができるのだそう。「対応する権利」を謳った彼らの取り組みがスタンダードになる未来は、案外近いかもしれません。
「パリ市は2001年のベルトラン・ドラノエ市長の時代から、環境対策に取り組んでいます。『涼みのアイランド』(ilots de fraîcheurs)と呼ばれる涼みスポットづくりが、その一例。緑化、歩道化、水飲み場やミスト機の設置などを行うことで、暑さ対策をしているのです。
アスファルトの地上が50度以上の時でも、そのすぐ隣の緑地は30度台ですから、実際に効果は大きいです。現市長のエマニュエル・グレゴワールさんもこの路線で、小学校の校庭を緑化し、教室の天井に扇風機を設置するなど、具体的に動いています。校舎を夜間に換気すると、日中涼しいこともわかっています。もっとも、今年6月の熱波直後には、エアコン1200台がパリ市内の保育園と小学校に支給されました」

