1. 歴史的(慣習的)要因
2. 文化遺産的要因
3. エコロジー的要因
4. 財政的要因
1. 歴史的(慣習的)要因:パリの緯度は樺太(からふと)とほぼいっしょ
「単純に、そもそも通常の夏の気温があまり高くなく、エアコンが必要ない環境でした。30度を超える日は1年間のごく数日で、大抵その暑いタイミングはバカンスです。つまり、一年で一番の真夏日に暑いオフィスで働いているわけではなく、それどころかバカンスを利用して避暑地で過ごしていている場合が多い。よってエアコンの必要性を感じない。フランスのエアコン普及率が低いことには、こんな背景があります。
かくいう私も、今年6月の熱波到来時はパリを離れ、ノルマンディー地方のセカンドハウスにいました。驚くことに、ノルマンディー地方の海辺は、セーターを着ないと歩けないほど肌寒かったのです。気温上昇による犠牲が報道されていた、その時にです」
真夏でも、涼しい日や地域があるフランス。緯度を見ると、パリは樺太(からふと)の近く。一方、東京は南仏マルセイユよりさらに南にあり、スペインのセビーリャに近いことがわかります。
「このような環境にある私たちフランス人が体験した最初の猛暑は、2003年8月です」
「2003年当時、前代未聞の事態に政府の対応が遅れ、一人暮らしの老人や老人ホームの入居者が犠牲になったと報告されています。そしてこの時、南フランスではほとんど悲劇が発生せず、注目されました。日中は雨戸を閉めて熱い外気の侵入を防ぎ、明け方と夜の涼しい時間に活動し、換気も涼しい時間に行って、できるだけこまめに水を飲む。こういった暑い土地ならではの生活習慣が猛暑克服に有効だとわかり、それにならうようメディアを通じて盛んに呼びかけられたものです。これは、今年の猛暑でも同じです。

