低山=低い山という単語は、「低いから、登山慣れしていなくても大丈夫だろう」というようなイメージを喚起させやすい。かつての私もきっと、似たような思いを持っていたのではないかと思う。
ところが決してそんなことはなく、高かろうが低かろうが、山での遭難事故は身近なものなのだ。
また、遭難まではいかないにしても、骨折などのリスクも意外なくらい多いという。命を落とすようなことにはならなかったとしても、骨折などの危険性はすぐそこにあるのだ。
「低い山=安全」ではない
著者も山の危険度について、「標高の高い山や雪山なら危ないけれど、低い山なら大丈夫」という認識が一般的だと指摘している。
たとえば、「北アルプスの剱岳に登ってくる」と聞けば「大丈夫? 気をつけてね」と心配されるだろうが、「今週末は高尾山に行ってくるね」と言われた場合、たいていは「楽しんできてね」というリアクションが返ってくるのだと。
たしかに、そのとおりではないかと思う。登山に詳しくない人は剱岳の険しさなどイメージできないが、その一方、高尾山はピクニック的なレジャーを連想させもするのだから。
また本書には、「私は遭難するような危険な山(高い山)には行かないから大丈夫」という高齢男性の発言も紹介されている。
これもまた、多くの人の頭のどこかにこびりついている“漠然としたイメージ”のひとつではないだろうか。
では具体的に、低山にはどのようなリスクがあり、どんな事故が起きているのだろうか。著者によれば、まず筆頭に挙げられるのが「道迷い」だという。
北アルプスや富士山、八ヶ岳などに代表される“人気の高いポピュラーな山・コース”であれば、登山道も道標も整備されており、大勢の登山客も訪れるため、道に迷うリスクはさほど高くないのかもしれない。
ぶっちゃけ、他の登山者のあとをついていけば、おのずと山頂に立ててしまったとしても不思議ではないわけだ。

