参加費自体は夫婦にとってそれほど高額ではなかったようだが、驚いたのは宿泊費だ。東京では月額35万円のマンスリーマンションを借りていたが、長野県での滞在は、泣く泣く一泊12万円のホテルに泊まることになった。避暑地で開催されるために、宿泊費が高騰することを予想できていなかったようだ。
大阪への旅行と買い物以外、サマーキャンプに関する費用のみを教えてもらったところ、「参加費15万円×2週 + 30万円×2週」「宿泊費35万円 + 12万円×12泊」、さらに食事代や移動費を合わせて、4週間の滞在に約300万円を費やしていた。
子どもに「サマーキャンプはどうだった?」と聞くと、「やっぱり日本語を話すクラスメートが多くてあまり会話できなかった」「でも、いろいろな体験ができて楽しかった」と教えてくれた。
夫はずっと日本に滞在して子どもの面倒を見ていた。子どもがサマーキャンプに行っている間は、在宅ワークをしたり、無料の日本語教室に通ったり、買い出しをしたりと「日常の暮らし」を楽しんでいたようだ。妻は数日間しか来日できなかったものの、大阪と長野を満喫した。日常生活から離れ、3人で家族団らんの時間を過ごせたのだという。
サマーキャンプに参加したもう1つの訳
「300万円あれば、アメリカやヨーロッパへの旅行にも行けるし、プライベート講師をつけてどこかで勉強しながらゆっくり過ごすこともできる。それでも日本でサマーキャンプをさせたかった理由は何か」と夫婦に尋ねてみた。
実は、夫婦は子どもを日本の学校に転校させたいと考えており、その準備段階としてまず子ども自身に日本に慣れてもらいたかったのだという。同時に、夫が日本で生活していけるかのテストも兼ねていたそうだ。
この夫婦が生まれたのは1980年代。80年代生まれの中国人富裕層の多くは、北米、イギリス、あるいはオーストラリアへの留学しか目に入らなかった。英語圏の先進国であり、制度も教育も世界を牽引している国々が「基準」だったからだ。
実際に親の意向で、Aさん夫婦も幼少期から留学させられていた。しかし、今では自分の子どもには違う道を歩ませたいと考えている。


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