この家に生まれたことが失敗だった?
子どものときにいちばんの失敗だと思ったのは、両親の下に生まれたことだった。父親は勤め人ではなく、絵を描いて生活していたが、きちんと会社と契約して定期的に仕事を請け負っているのではなく、印刷会社からそのつど仕事をもらっていた。
彼は早稲田大学の政経学部を卒業して新聞社に入社したのに、絵が描きたいと勝手に会社をやめて、父親代わりの長兄から勘当された。祖父は末っ子の私の父親が生まれて1週間後に事故でなくなり(酒好きのため、酔っ払って側溝に落ちて溺死)、それから長兄が親代わりになって、妹、そして末っ子の私の父の面倒を見ていた。勉強が好きな長兄は大学進学を諦め、布地の輸入問屋に勤めた。長兄が苦労したのにもかかわらず、父親はそれを思いやることもなく、そんなことをしたので、長兄がぶち切れるのも当たり前だった。


※ログイン後、コメント入力が可能です。