嬉野の実家では、これで鍋を作る。豆腐が崩れてスープが白くなったら、豆腐を食べつつ、野菜や肉を煮る。味付けはいらないが、物足りなければ顆粒だしを少し足したり、ポン酢やごまだれをつけたりしていただく。大豆の旨みが媒介となって、具材を包み込むまろやかさがうれしい。
同じ大豆から生まれた鍋でも、豆乳鍋とはなぜだか別物に仕上がる。一度固めた豆腐をまた溶かして食べる湯豆腐の鍋は、滋味深い。
締めは雑炊かうどん。すべての旨みを吸った米と麺が、これまた最高なのだ。しかも身体にいいものしか入っていない。罪悪感なし。最後の一滴までこすりとっていただくのが、わが家の定番だ。
ちゃんぽんは長崎だけじゃないと前述したが、砂糖の通り道「シュガーロード」も長崎だけじゃない。だけじゃない佐賀、いろんなところに顔を出してくる。
シュガーロードとは、江戸時代、海外貿易の窓口だった長崎から小倉までの長崎街道のことだ。砂糖や南蛮菓子(カステラとか)がこの道を通って江戸へ運ばれた。2020年には日本遺産にも認定されている。
地元の図書館で見つけた『「肥前の菓子」シュガーロード長崎街道を行く』(佐賀新聞社、2006年)によると、街道25宿のうち13宿は現在の佐賀県にあった。しかも、佐賀藩の鍋島氏は長崎警備を務めていた縁で、長崎で砂糖を優先的に買い付けることができたそうだ。
砂糖の通り道と米どころが重なった佐賀には、素朴な菓子文化が育った。丸ボーロは知られているかもしれないが、私が大好きなのは白玉饅頭だ。ご存じだろうか?
饅頭と言っても、よくある小麦粉の饅頭じゃない。白くて、箸で持つと生地がとろ〜りと垂れるほど柔らかい。もちなのか? 団子なのか? いや、口の中でさっと溶けて、飲んでいるような軽さの饅頭なのだ。原料は米とあんこのみ。6つ入りはひとりであっという間になくなる。佐賀を通るたびにサービスエリアで買ってしまう、素通りできない一品だ。


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