有明海の生き物のうち日常的に食べるのは、「くちぞこ」だ。佐賀に帰ると母が、煮付けか唐揚げにしてくれる。あっさりとした白身の魚で、身離れが良く食べやすい。10歳の娘もひとりで2尾食べる。
くちぞこは、産直市場やスーパーの鮮魚コーナーで買える。この日、産直市場で見つけたものは、1尾480円だった。特段安くはない……と思っていた。
ところがこの「くちぞこ」、実は舌平目の一種らしい。私も今回調べて知ったのだが、そりゃうまいわけだ。銀座では舌平目のムニエルが5000円する店もあるとも聞く。1尾480円のくちぞこ、安くはないと思っていたが、舌平目となれば話は別だ。靴底の形に似ていることからこの名前がついたそうだが、有明海が誇る、れっきとしたご馳走じゃないか。
豆腐が「溶ける」鍋がある
おっと、いかんいかん 。もうひとつ忘れてはならない佐賀の当たり前に、「温泉湯豆腐」がある。湯豆腐と聞けば、湯に浸かった豆腐を想像する人がほとんどだろう。でも、佐賀の「温泉湯豆腐」は違う。
嬉野温泉のアルカリ性の湯で炊くと、豆腐の角が溶けて、湯が白く濁るのだ。ふわとろになった豆腐はもちろん、豆腐のとけ込んだ白いスープがまたうまい。
とはいえ、嬉野出身の筆者も、子どもの頃は食べたことがなかった。昔の温泉湯豆腐は家庭の味というより、旅館の朝食だった。武雄市にある豆腐店 佐嘉平川屋が1980年代からスーパーに卸すようになり、家庭の食卓に並ぶようになった。今では、佐賀や福岡のスーパーで、温泉水と同じ成分の調理水とセットで買うことができる。


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