今回の調査では、参加者の一部に高校卒業レベルの国語の読解問題(「文章読解・作成能力検定」〈©公益財団法人 日本漢字能力検定協会〉より準2級の問題を使用)にも答えてもらいました。その結果、大学などの講義内容を記録する人の正答率は57%だったのに対し、記録しない人は32%という結果になり、日常的な読書習慣と読解力の相関関係も確かめられました。
また、本や新聞・雑誌を普段から読む人の正答率は56%、いずれも読まない人は39%でした。
◎大学等の講義内容を記録する人と記録しない人における、国語問題の正答率。破線は偶然の水準(チャンスレベル)を示す
さらに、「講義内容を記録するか」と「本や新聞・雑誌を読むか」という2つの要因を組み合わせて分析すると、「読む」と「書く」の両方がある場合に、正答率が段階的に高くなることが示されました。
◎2つの要因に対する国語問題の正答率
もちろん、この結果だけから、「書かないから読解力が低下した」と因果関係を断定することはできません。もともと読解力が低い人だから、講義内容を記録することが難しかった可能性もあります。
しかし、少なくとも今回の調査では、日常的なメモの取り方や読書習慣は、文章の読解力や論理的な思考力に関係するということが明確に示されたのです。
さらに、注目すべきは、今回の問題は3択・4択問題で、講義内容を記録しない人の正答率が、偶然に選択肢を選んだ場合の水準と統計的な差がなかったことです。酒井教授は、この結果についてこう言います。
「これは単に『国語の点数が低い』という話ではありません。そもそも文章や図表が何を意味しているのか、十分に理解できていない可能性があります」
これは、かなり重い指摘ではないでしょうか。
「読む」は入力、「書く」は出力…その間で何が起きているのか
では、なぜ読むことと書くことが、文章を理解する力と関係するのでしょうか。酒井教授が専門とする言語脳科学の研究によれば、読むことと書くことは、単純に「目で文字を見る」「手を動かして文字を書く」という行為ではありません。


※ログイン後、コメント入力が可能です。