高輪ゲートウェイシティのコンセプトは「100年先の心豊かなくらしのための実験場」だ。河合さんは、その背景をこう説明する。
「約150年前、日本で初めて鉄道が通りました。当時の鉄道は、人の生活様式をがらりと変えるイノベーションだったと思います。150年前のイノベーションのDNAを、これから100年先に向かってきちんと継承していこうということで、街を『100年先の心豊かなくらしのための実験場』と位置づけました」
JR東日本が進める「広域品川圏」構想とは
高輪ゲートウェイシティの地下には、地域冷暖房施設と一体となった国内最大級の蓄熱槽が設けられている。
「夜間の電気を使って、夏なら冷たい水、冬なら温水をつくり、それを昼間の冷暖房に使うことで、効率的にエネルギーを利用する仕組みです。もともとは省エネのためですが、ものすごい量の水をためるため、災害時には生活用水として使うことも想定しています」(河合さん)
平時の省エネ設備が、非常時には地域を支えるインフラになるわけだ。他にも高輪ゲートウェイシティ内にある各建物で、太陽光発電や太陽熱・地下熱を利用したシステムなど、環境対策にも力を入れている。しかし、取材を通してわかったのだが、このようなプラス面を知る地元住民は少ない。今はただ、巨大施設の存在を見上げているだけのように感じた。
JR東日本が見据えているのは、高輪ゲートウェイ駅周辺ばかりではない。浜松町、田町、高輪ゲートウェイ、品川、大井町、この沿線の5駅を「広域品川圏」と位置づけ、個々の開発を点ではなく面として結ぼうとしている。
主要な3拠点である浜松町、高輪ゲートウェイ、大井町は、京浜東北線で約6km、約10分の範囲に収まる。各地に異なる役割を持たせ、面として人を動かす考えだ。中央に位置する高輪ゲートウェイ駅周辺は、新幹線や羽田空港へのアクセスを生かす「国際交流拠点」と位置づけられる。
「この街をゲートウェイ(玄関口)として、ニューヨークやロンドンなどとの都市間競争を考えています。まずアジアでしっかり選ばれ、さらに世界の中でナンバーワンの東京を目指す。その役割を、この広域品川圏および高輪ゲートウェイシティが担っていきたい」(河合さん)


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