国際交流拠点を、働く場所や訪れる場所だけでなく、実際に暮らす場所にするのが「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」だ。
建物は地上44階、地下2階。847戸すべてが賃貸住宅で、間取りは1LDKから5LDK、広さは約43平方メートルから約588平方メートルとバリエーションがある。ここは、一般的なタワマンというより、外国人ビジネスパーソンや企業経営者なども想定した「国際水準の高級賃貸住宅」といったイメージだ。
共用部にはフィットネス施設のほか、29階のスカイラウンジやスカイテラス、30階のシアター、パーティーラウンジが設けられた。24時間、多言語で対応するコンシェルジュやドアマンも配置される。低層部には東京インターナショナルスクールも入る計画だ。
つまり、このタワマンは単に住宅を847戸増やしたのではない。「国際交流拠点」として働く場所、買い物、教育、運動、娯楽までを街区内にそろえ、「100年先の心豊かなくらし」の実現に向けての実証・実装に取り組もうとしているわけだ。
ただ問題は、その住民たちの生活が、高輪に以前からある街とどこまで交わるのかということだ。
高輪ゲートウェイシティで「本は買えるが、大根は買えない」
世界を見据えた構想は壮大だ。しかし、高輪ゲートウェイシティのすぐ隣で暮らす住民との間には、物理的にも心理的にもずれがある。高輪ゲートウェイ駅から歩いて数分の場所にある泉岳寺門前で、明治40年から続く土産物店「小泉義士堂」の5代目、小泉敦さんは、次のように語る。
「近くに駅ができたということは素晴らしいことなのですが、暮らしが便利になったかというと、今のところはそうでもないですね。日々の食事の材料は、以前と変わらず少し遠い場所にある安めのスーパーを使います。高輪ゲートウェイシティには明治屋とか成城石井が入っているけど、高級スーパーでは日々の買い物はなかなかできません。ただし、この界隈には昔から本屋さんがなかったけれど、高輪ゲートウェイシティには大きな本屋さんができたので、これは便利に使っています」(小泉さん)
高輪ゲートウェイシティ内でも生鮮食品は買えるが、価格帯から見れば、周辺住民にとって「毎日の台所」にはなりにくいようだ。「本は買えるが、大根は買えない」とでもいうべき、未来都市と日常生活との距離を感じた。


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