頭を少し下げながら、薄暗く湿った通路を歩いていく。JR山手線や京浜東北線、東海道線など、何本もの鉄路の下をくぐり抜け、港区高輪と芝浦港南側を結ぶ高輪橋架道橋下区道。地元で「おばけトンネル」の愛称で親しまれてきたこのトンネルは、低い場所では高さがわずか1.7mほどしかない。都心に残された異例の極小インフラだ。
頭頂部を擦らないよう常に腰を屈め、首を傾けながら通り抜ける…
背の高い大人であれば、頭頂部を擦らないよう常に腰を屈め、首を傾けながら通り抜けなければならない。自転車に乗る人はサドルから降り、押し歩きながらやり過ごす。
高輪ゲートウェイ駅は、線路を挟んで西側にある。現在、この駅を降りて線路の向こう、つまり街の東側に渡るためには、このおばけトンネルを使うか、お隣の品川駅付近まで歩く必要がある。高輪ゲートウェイシティはグランドオープンを迎えたが、周囲との物理的な接続は今後も拡がる余地を残しているわけだ。おばけトンネルのすぐ横では、両車線で車が行き来できるよう「第二東西連絡道路」の整備が進んでいる。完成は2031年を予定しているようだ。
線路を越えた東側、高輪ゲートウェイ駅のちょうど真裏にあたる場所には、「港区立芝浦中央公園」がある。複合遊具や木製アスレチック、広大な芝生広場などがそろい、家族連れで楽しめる公園だ。その隣には、敷地面積約20万平方メートルの「芝浦水再生センター」が位置する。1931年に稼働した、東京で3番目に古い下水処理施設だ。公園と処理施設が大きな面積を占めるため、駅の真裏にあたる一帯には人家が少なく、昼間でもどこか閑散としている。
ところが、おばけトンネルを抜けて線路の西側に出た瞬間、眼前に広がる景色は劇的に変わる。視界に突如として現れるのは、眩いばかりのガラス張りの超高層ビル群と、地上44階、高さ約172m、総戸数847戸を誇る巨大な高層賃貸住宅「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE(高輪ゲートウェイシティ レジデンス)」だ。


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