乗り遅れの理由は、撮影だった。J-CASTニュースは、母親とみられる女性がスマートフォンで500系車両を撮りながら走る様子が映像に残っていたと伝えている。撮ることに夢中になって乗り遅れた人が、その一部始終を別の誰かに撮られ、SNSへ流れた。この日、ホームではカメラが二重に回っていたことになる。
また同記事によれば、JR西日本は、列車をバックさせて乗車させる取り扱いはしていないと明言している。担当者は、列車は所定の時間に発車させる扱いであり、特別なルールを運用すれば運行に支障が出る、と説明した。列車は5分遅れで運行を再開している。
つまりこの緊急停止は、「乗せるため」ではない。むしろ逆である。乗せないと決めたうえで、それでも発車した列車と人が接触しないように止めた。目的が正反対であることは、押さえておきたい。
そもそも列車と点字ブロックの間は、接触を避けるために離れるべき場所である。JR西日本の公式サイトによると、この範囲は「L空間」と呼ばれ、人がいる場合は、安全を確認できるまで列車が発車しないことがあると案内している。
JR西日本が今回の停止を「安全確保のため」と説明したのは、この基準に沿った判断だったといえる。
夏になると「鉄道マナー論争」が繰り返される理由
ネット上の論争を継続して見てきた筆者の実感として、盆暮れ正月やゴールデンウィークなど、行楽や帰省で利用者が増える時期になると、新幹線をはじめとする公共交通機関のマナー投稿が話題になりやすい。
代表例の一つが、新幹線車内でのカードゲームをめぐる論争だ。通路側の客がテーブルを占拠していたため、出られずに困ったという窓側利用者の訴えだったが、ネット上ではゲームをしていた側だけでなく、その状況を“さらした”投稿者にも批判が向いた。
グリーン車や指定席の使い方、車内での飲食やにおいをめぐる議論でも、明文化されたルールと暗黙のマナー、さらに投稿者の言い分が混ざり合う。そもそも、鉄道は利用経験者が多い。誰もが自分の体験を物差しにして、「もし自分なら」と議論へ参加しやすいテーマなのだ。


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