更生保護のように関心を集めにくいテーマであればなおさら、強い視覚的インパクトに頼りたくなる誘惑は大きい。実際、今回の起用は、これだけの反響を見ると、「注意」の獲得という最初の関門だけは、確かに突破していたことになる。
その「注意」を引く手法にも法則がある。一見関係のなさそうな2つの概念を掛け合わせると、そこに生まれる違和感が「なぜこの組み合わせなのか」という興味を喚起する。
法務省のポスターには「効果的な1文」が欠けていた
ただし2つの概念の乖離が大きすぎると、興味喚起どころか単なる拒否感だけが残る。
筆者が資生堂在籍時代に手がけたデオドラント「Ag+」でも、「銀イオン」と「消臭」という異なる概念の掛け合わせでこの効果を狙ったが、この2つを一瞬で結びつけていたのが「におい菌を銀が殺菌(消臭)」というキャッチコピーだった。
今回のポスターの「更生上等!!」は、この機能が十分ではなかった。「更生保護」という公的な概念と「入れ墨・元不良」という逸脱的なビジュアルの乖離を埋める、効果的な1文が欠けていたのである。
多くの共感を集めた《こういう番組が支持を受けているのが理解しがたい》という声は、まさにこの乖離の大きさへの反応だ。
例えば、「刻んだのは過去。誓うのは未来。」というような乖離を結びつける1文が添えられていたら、今回多くの人がしたような「誇示ではないか」という受け止められ方は、防げたかもしれない。


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