それが開業医になると別世界になる。8時間働き、8時間休み、8時間自由を得る。これはすばらしい。まさにメーデーの精神である。
自由時間をフルに使って執筆活動をしていることは連載の第1回で話したが、それに伴って作家仲間ができたことはぼくにとって本当に宝物になった。
仲間で集まってどんな話をしているか。
みなさん、ノンフィクション作家だったり、ジャーナリストだったりするので、自然と取材の舞台裏の話になる。これがおもしろい。なるほど、そんな舞台裏があるのね。
それとやっぱり紙の本に対する危機感みたいなものが皆の口から出る。わかっていることではあるけれど、雑誌が売れないこと、ノンフィクションが売れないことは、フリーの作家さんたちにとって死活問題である。
「じゃあ、オレたちでYouTube番組、始める?」
「いや、いや、いや、無理でしょ!」
こんな会話が毎回出る。確かにぼくはYouTuberにはなれない。だけど、YouTube 番組に出演して本の宣伝をすることは、今や大手出版社でも当たり前のことになってきている。
デビュー作を『週刊現代』で紹介してもらったら…
でも待てよ、よく考えてみればメディアに出演するという宣伝方法は今に始まったことではない。ぼくもずいぶんといろいろなメディアに出た。ちょっと振り返ってみよう。
ぼくのデビュー作は、講談社の『命のカレンダー 小児固形がんと闘う』(08年)。細かい経緯は省略するが、この本は現在、中公文庫の『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』という文庫本になっている。
この本が出版された08年、編集者さんが作戦を練ってくれた。それは、『週刊現代』(講談社)の「ちょっとイイ話」という連載コーナーに、本書で登場する卵巣がんの少女の物語を載せることだった。


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