2016年には、本部のストラクチャードファイナンス部門へ異動となる。外資系ファンドによる日本の不動産取得案件など、大型不動産ファイナンスのスキーム組成を担当。案件ごとに最適解を考え、合理的な論理を積み上げていく仕事は、非効率な支社営業に比べるとずっと性に合っていたし、好きだった。
その一方で、銀行員として働き続けた先の人生も冷静に計算していた。
「会社員を続けても、収入の伸び方には限界がある。昇給のペースも遅いし、役員になっても年収は数千万円でコスパが見合わない。それなら、新しく価値を生み出したほうが、自分の能力が最大化されるんじゃないか?」
銀行の仕事が嫌いだったわけではない。しかし、自分の人生全体を考えたとき、このまま会社員を続けることが最適解には思えなかったのである。
“恋愛や身だしなみに無頓着な男性たち”に出会う
銀行員として働く傍ら、勝倉さんは趣味で仮想通貨の情報を追っていた。そのコミュニティで、ある種の人たちに出会う。
「能力はすごく高いのに、恋愛や身だしなみに無頓着な男性が、本当にたくさんいたんです」
学歴も年収も高い。頭の回転も速い。それなのに、恋愛に課題を感じている男性たち。髪型、眉毛、服装、爪、コミュニケーション――自分をどう見せれば魅力が伝わるのかが、まったく分かっていない。
誰かにどう見られるか、という視点そのものがインストールされていなかった彼らは、勝倉さんにとって「磨かれていない原石」に映った。
「すごくもったいないと思いました。能力という資産は十分にあるのに、それが磨かれていないから市場で正しく評価されていない。少し磨くだけで、大きな価値を発揮できる人たちなのに、と」
銀行で不動産ファイナンスを担当していた彼女は、日々、資産を評価し、どうすれば価値を高められるかを考えていた。その視点は、人に対しても変わらない。彼らは、彼女の目に「割安に放置されている資産」として映った。
本来の価値と市場評価に大きなギャップがあるならば、そのギャップを埋めればいい。今まで本を読んで培った「人間を読み解く」目と、銀行で鍛えられた「マーケット感覚」の発想が、ここで噛み合う。それらを彼女は、極めて感覚的なものとされていた恋愛領域へ持ち込んだ。
こうして生まれたのが「モテコンサル」だった。


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