その一方で、図鑑や機械にはほとんど関心を示さなかった。勝倉さんが惹かれたのは、一貫して「人」だった。人が何を考え、何を求め、どのように生き、何によって破滅するのか。幼い頃から、人間にまつわる物語に没入していた。
あるとき、小学校の担任から自宅に連絡が入った。「娘さんが本ばかり読んでいるのが心配です」休み時間も一人で本を読んでいるため、クラスでいじめられているのではないかと教師は思ったらしい。
しかし、本人にはそのような自覚はまったくなかった。孤独を紛らわせるためではない。ただただ、本を通してさまざまな人生をみて、本の中の人々と対話することが好きだったのである。
大人と話すほうが楽だった
本を大量に読み、人物洞察力を育んだ勝倉さんは、同年代の子どもたちと話が合わなかった。
「幼稚園くらいの頃から、大人と話すほうが楽しいと思っていました」
同級生との会話は、何を話せばいいのか分からない。話題を合わせようとしても、自分が面白いと思える方向には進まない。自分の使う語彙が理解されず、通じないのもストレスだった。
一方、大人との会話は知らないことを教えてくれるし、考え方について議論もできる。会話そのものが面白かった。だから小学校では、休み時間になると先生のところへ行った。同級生と遊ぶより、先生と話すほうが知的な刺激があったからだ。


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