『たたき台の教科書: 頭の良さに頼らず一流の仕事をする技術』(萩原雅裕 著、東洋経済新報社)というタイトルを目にしたとき、圧倒的に未熟だった数十年前の自分を思い出してしまった。
振り返ってみれば当時の私は、数人単位の小さなプレゼンなどで恥ずかしげもなく、「まあ、これはたたき台なので……」というような発言をしまくっていた気がする。そうすれば、その場はなんとかしのげるような気がしていたからだと思う(われながら、ツメの甘さに呆れる)。
つまり「たたき台」という言葉を、「その場しのぎのツール」として使っていたということだ。とんでもない勘違いである。
ボコボコに叩かれる「たたき台」の作り方
しかし、それが勘違いであったことに気づいた以上、本来の「たたき台」とはなんであるのかについて、きちんと学び直す必要があると思い続けてきた。思い続けてきた割にはなかなか実現できなかったのだが、だからなおさら、本書に興味を持ったわけである。
だが著者によれば本書は、「ボコボコに叩かれる「たたき台」の作り方」を明らかにしたものなのだそうである。たたき台のことをまじめに学ぼうと思っていたのに、まったくもってふざけた話だ。
などという茶番を打つまでもなく、ボコボコにたたき台を叩かれる――もっとわかりやすくいえば「叩かせる」こと。それこそが、いちばんラクでスマートにストレスなく仕事を進める方法だというのである。
言ってみれば、「逃げ道」として使おうとしたかつての私の発想とは正反対のアプローチである。それはそれで興味深いが、ともあれ、ボコボコに叩かせることが仕事の活性化につながる理由は3つあるそうだ。



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