「せっかく、たたき台を作ったのに、『考えが浅い』と言われてしまった」というようなケースもあるだろう。しかし、「考えが浅い」と言われるのは、必ずしも能力や努力の不足が原因ではない。
「考え」が「浅い」ことはほとんどない
「考えが浅い」と言われるときは、「深さが足りない」と受け取りがちかもしれない。が、そうではなく、考える方向性を間違えているか、考える観点に抜け漏れがある場合がほとんどだというのである。
ここで著者が示している「浅い提案の例」は以下のとおり。
「競合のA社が価格を20%下げているので、当社も同じくらい値下げすべきです」(14ページより)
競合分析もしているし、具体的な提案もある。しかし上司からは、「もう少し深く考えてみて」と言われるのだそうだ。なぜなのだろう?
・価格という1つの要素しか見ていない
・なぜA社が値下げしたのか、背景を考えていない
・値下げ以外の選択肢を検討していない
・値下げした場合の影響を考えていない
(14ページより)
つまり「検討の幅が狭い」ということで、これが「浅い」と言われるときに起きていること。では、良いたたき台の例を見てみよう。
「競合A社が価格を20%下げた背景を調べたところ、量産効果でコスト削減に成功したようです。一方で、サポート体制が手薄になり、既存顧客の満足度が下がっているという声がSNSで見られます。
当社が価格で対抗すると利益率が大きく下がりますが、サポート体制を強化することで差別化できます。具体的には、導入後3ヶ月間の専任サポート付きプランを打ち出します。初期費用は据え置きでも、トータルコスト(購入費+運用費+トラブル対応費)で比較すると、当社の方が年間で約15%安くなる計算です」(14ページより)
誰の目から見ても、上記の「浅い提案の例」とは雲泥の差である。たたき台が「原案」や「素案」を意味するものだとしたら、もはやそのレベルを超えているほどのクオリティの高さである。
仮に私が上司だったとしたら、ツッコミどころのなさに嫉妬したくなるかもしれない。ともあれ、理想的なたたき台とは、こういうものなのだろう。


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