キッチンの裏手にまわると、浴室とトイレ、洗面所がまとまっていた。水まわりは想像以上に広く、特に洗面台のある脱衣スペースには大きなゆとりがあった。50年以上前の集合住宅では、水まわりのこの広さは珍しかったのではないだろうか。
さらに個室は池側に1室、道路側に2室あり、いずれも和室だ。池側の和室の窓からは、水面と対岸の緑が見える。朝起きたら池が見え、四季の変化も感じられる。
池側には、奥行きのあるバルコニーが設けられていた。屋根と壁に囲まれ、こもり感のある空間だ。サンルームや室内の延長のようにも感じられる。
端には洗濯機置き場があり、物干し竿を渡すための金具が天井から下がっていた。池を眺めながら洗濯機をまわし、その場で洗濯物を干すことができる。洗濯の動線がまとまっているうえ、スペースにもゆとりがあって使いやすい。
「店舗付き住宅」として貸し出し
見学したこの住戸は、公社が商店と組み合わせて貸し出していた「店舗付き住宅」である。
公社は商店街の一部店舗区画を所有し、あわせて上階の住宅も一体で貸し出していた。店舗と住宅が直接つながっているわけではないが、店のすぐ上に住まいがあるのは、商売をする人にとって便利だっただろう。店主の家族や従業員が住んでいたといい、「従業員を住まわせることができ、とても喜ばれたそうです」と松井さんは語る。
見学した住戸は、すでに店舗付き住宅としての利用を終え、取材後に売却された。


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