そんな彼に転機が訪れた。結婚相談所が主催する婚活パーティーで、たえこ(33歳、仮名)とマッチングしたのである。見た目も好みで会話も弾み、「これまで婚活で出会った女性のなかで、一番自然体で話せた」と笑顔を見せていた。
結婚相談所の婚活パーティーでは、マッチング後にお互いがプロフィールを確認し、改めてお見合いへと進む仕組みになっている。そこで彼は、たえこが離婚歴のある女性だと知った。
「今までで一番素敵な人だと思いました。でも、バツイチでは親が反対します。お見合いはしますが、その後、お断りしようと思っています」
そう打ち明ける彼に、筆者は言った。
「女性にお子さんがいるわけでもないですし、ご自身が素敵だと感じた相手なら、婚歴だけで判断する必要はないのでは?」
数日後、彼から再び連絡があった。
親の言いなりは情けないけれど…
「親に話したら大反対されました。『初婚のお前が、バツイチの女性を選ぶ必要があるのか。お見合いなのだから、もっといい条件の相手を探しなさい』と。特に母親はカンカンでした」
そして、少し間を置いてこう続けた。
「私も一晩考えました。この年齢になって親の言いなりになるのは情けないとも思います。でも、義両親になる人が最初から反対している家庭に嫁ぐのは、たえこさんに申し訳ない。田舎の親の考え方は、たぶん変わりません」
彼は35歳の社会人であり、自立した1人の大人である。それでも結婚相手を選ぶ基準は、自分の気持ちよりも、「親がどう思うか」が優先されていた。
婚活市場では、年齢を重ねるほど選択肢は狭くなる。「親が喜ぶ結婚」という物差しを手放さないでいると、目の前にあるご縁を自ら遠ざけてしまう。親の期待は子どもを支える力にもなるが、ときに本人の判断を曇らせる"見えない基準"になっている。そのことを、ふみおも彼の親も気づいていない。


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