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キャリア・教育

時給数百円で教員を働かせる「ブラック部活動」がまかり通ってしまう理由とは? 部活指導の歴史と「地域移行」のリアル

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バスケのボールを手に持って女子部員の指導に当たる女性教員
休日を返上して部活の指導をしても、顧問に支払われる手当は雀の涙だ(写真:Fast&Slow / PIXTA)
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教師によっては、月曜日は必修クラブ活動で指導し、火曜日から土曜日は顧問として部活動の指導に当たる者もいた。必修クラブ活動では専門外のことを指導しなければいけないこともあった。これは大きな負担と言えよう(部活動と必修クラブ活動の併存は2002年まで、33年続くことになる)。

1972年には前述の「教員特殊業務手当」が制度化されたが、それは繰り返し述べるように雀の涙ほど。部活動(必修クラブ活動含む)は教員の「献身的労働」によって支えられていたのだ。

「地域移行」は救世主となるか

こうした教員の状況を改善する取り組みが近年、文科省(またはスポーツ庁)によって行われている。それが部活動の地域移行(地域展開)だ。これは学校単位で行われてきた部活動を、地域のクラブや団体に運営主体を移していく改革のことである。

この改革によって、教員が本来の教育活動に専念できるようになる、あるいは学校の枠を越えて生徒が地域の人々と交流することが期待されているのだ。

しかしその一方で地域での指導者の確保という問題がある。報酬の低さ、仕事との両立の困難さ、事故が起きた際の賠償への不安から、指導者不足が起きている。また地域クラブ活動は原則会費制となるが、それだけでクラブを運営していくのは困難だろう。地域クラブ活動を持続的に展開していくための収益も課題となっている。

前者の課題の対策としては、「地域指導者人材バンクの構築」「地域のスポーツクラブとの連携」「指導者を補償する保険制度の活用」、後者には「自治体の補助金」「ふるさと納税を活用した寄附受け入れ」「クラウドファンディングの活用」などが挙げられている。

そのほかにも保護者の費用負担の増大、送迎の負担、家庭の経済状況によって子どもの地域クラブ活動の機会が左右される問題がデメリットとして挙げられるが、部活動の地域展開が教員の負担を減らすことにつながることは間違いないだろう。

しかし、各家庭や自治体の差によって、子どもたちの部活環境が大いに変わる可能性もあり、そこは注視して、改善すべきところは改善していかねばならない。また地域の指導者に(これまでの教員のような)大きな負担がかかることも防がねばならない。

残された課題は多いと言えよう。

(主要参考引用文献一覧)
・石坂友司「学歴エリートの誕生とスポーツ」(『スポーツ社会学研究』10、2002年)
・中澤篤史「学校運動部活動の戦後史(上) 実態と政策の変遷」(『一橋社会科学』3、2011年)
・木下慧人「「ブラック部活」がつらい…生徒より教員の負担重く 指導は仕事? それともボランティア?」(『産経新聞』2016/10/1)
・下竹亮志「運動部活動は何をしてきたのか? 地域移行の前提を問い直すために」(『年報体育社会学』5、2024年)
・有山篤利「どうする日本のブラック部活動。「問題の根底は日本人のスポーツ観」今こそ必要なスポーツ改革とは?」(『OTEMON VIEW』2025/4/16)。
・「教員の部活動手当は支給される?おかしい・負担と言われる理由6つ」(『アガルートアカデミー』2025/5/28)
・なおじ「学校部活動の教育的意義と歴史的変遷|明治期の校友会から令和の地域移行まで元教師が徹底解説」(『学習法・指導法・学び方」についての徒然語り』2025/12/5)
・「部活動の地域移行はいつから?保護者・教員の負担や課題を事例とともに解説」(『ジチタイワークスWEB』2025/12/9)

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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