周囲の大人たちは、「本を書くのはやめておけ」と言いました。
「生活保護を受給していた」「ヤングケアラーだった」――そういう過去を明かさなくても、東大を卒業したら、幸せな人生が待っている。
社会はきみが思っているほど綺麗じゃない。差別や偏見を受けるだろう。
どうしていま書く必要があるんだ。この社会を甘く見るなよ。
これが大人たちの「アドバイス」でした。
それでも「いま」本を書きたかった
しかし、それでも「いま」本を書きたい理由がありました。
僕は生活保護、つまり税金で支えてもらいながら育ったので、将来的には、自分を育ててくれた国や町に恩返しできるような仕事をしたいと思っています。しかし、現在、生きている子どもたちは、「いま」救いの手が差し伸べられなければ、手遅れになります。
「これから何十年後には解決する」のでは、遅いのです。
だからこそ、同世代の子どもたちにわずかでも希望を届けたいと思い、リスクを承知の上で、この本を出版しようと決めたのです。
「生活保護世帯の子どもでも、ヤングケアラーの子どもでも、もっと広く言えば、どのような家庭環境で育った子どもでも、夢を諦めずに、希望を持って生きられる社会になってほしい」
ひとりの大学生として僕にできることは、自分の経験を伝えることだけだと思えました。
この本が、当事者の子どもたちに届くこと。そして、子どもたちを取り巻く大人や社会が、一歩動き出すきっかけになることを、心から願っています。


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