2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって状況は一変する。
外出自粛やマイカー通勤への転換、学校の休校などによって利用者数は大幅に減少した。一時はコロナ禍前の半数程度にまで落ち込み、先行きは見通せなくなり、鉄道の在り方が全国的に問われる状況下となった。また、その年は会社設立50周年の節目でもあったが、記念イベントの開催もできなくなってしまった。
コロナ禍を通じて、同社では、いかにして落ち込んだ利用者を呼び戻すか考えるようになった。
そこで改めて注目したのが、キハ205引退時に全国から集まった鉄道ファンの存在だった。
沿線住民に利用してもらうことはもちろん重要だが、同時に「沿線外の人々とどうつながるか」という視点も経営していくうえで重要なテーマとなった。
キハ205引退時に実感した全国のファンの存在は、コロナ禍を経て改めてその重要性が認識されるようになった。沿線住民だけでなく、沿線外とのつながりをどう広げていくかという視点から、クラウドファンディングやSNS運用、イベント企画などの取り組みが本格化していった。
その象徴となったのが2021年に実施したクラウドファンディングだった。
全国から集まった2300万円
対象となったのはキハ205の復活と、同社が保有する国鉄車両のキハ37、キハ38の塗装変更である。キハ205は以前から社員や鉄道ファンの間で復活を願う声が強かったこともあり、プロジェクトの目玉として位置付けた。
企画はトップダウンで進められていたものの、コロナ禍で社会全体が苦境にある中、高額な目標金額への共感を得られるのか、社内には不安視する声もあった。それでもプロジェクトはスタートした。
目標額は1300万円。2021年8月16日にスタートしたプロジェクトは、蓋を開けてみれば、わずか1週間後の23日の時点で目標額を達成してしまった。
その後、2500万円のネクストゴールを設定し支援を募った結果、最終的に約2300万円の支援が集まった。

