一人で暮らすことも、一人で楽しむことも、ずいぶん身近になった。それでも、人生の「標準形」はいまも結婚して家庭を持つことなのだろうか。家族やパートナーがいない“ソロ”たちは、社会の中でどんな前提に向き合っているのか。結婚や家族をめぐる「普通」を問い直す。
単身者が増えても、変わらない「理想の家族像」
ソロが増えてもなお多くの人にとって「結婚して家族を持つこと」が普通なのか。「婚活」などの言葉の生みの親として知られる、家族社会学の研究者で中央大学教授の山田昌弘さんはこう指摘する。
「未婚化や離婚の増加で単身者は増えています。学生にも『君たちのうち結婚するのは4分の3で、3組に1組は離婚する』と伝えています。かつてのような『男性が稼ぎ、女性が家事をする』結婚観は薄れ、独り身を選ぶ価値観も認められつつある。ただ、若者たちはなお、自分はいずれ家族を持つのが理想と思っています。独り身の人生がよい、という価値観に置き換わったわけではないんです」
山田さんが学生に「40歳の理想の自分をどう想像しますか」と尋ねると、ほとんどが「結婚して子どもがいて、一戸建てに住んで……」と答えるという。
「年を重ねた先に、一人でいる自分を理想としている学生はほとんどいません。理想像は、いまだに家族を持つことにある。人は一人で孤立して生き続けたいわけではない。その不安を解消する手近な方法が、結婚すること、子どもを持つことなんです」


