西側諸国による経済制裁が続く中、ロシアは貿易決済の手段として、暗号資産に活路を見出しているようだ。7月1日、暗号資産であるビットコインやルーブル建てのステーブルコインの利用を、企業の貿易決済で正式に容認する法律が施行された。暗号資産による貿易決済は、すでに2024年から試行されており、中国やトルコ、インドとの貿易で実績を積んでいる。
この法律が施行される前まで、さまざまな暗号資産事業者を利用して行われていたようだ。しかし7月以降は、中央銀行が認可した8つの事業者を介してのみ暗号資産での決済が認められる。資金洗浄(マネーロンダリング)対策として10万ルーブル(約20万円)を超える取引には、報告を義務付ける一方、国内決済には利用できない。
こうしたロシアの動きに対して、欧州連合(EU)の対応は素早い。EUの場合、4月23日に採択した対ロ制裁第20弾で、EU域内の事業者に対し、ロシアの暗号資産事業者や暗号資産交換所との取引、ならびにロシアの通貨ルーブルと連動したステーブルコイン(RUBx)やデジタルルーブル(いわゆるCBDC<中央銀行デジタル通貨>)の利用を禁止した。
また7月23日の対ロ制裁第21弾では、第三国の暗号資産事業者も制裁の対象に加えた。具体的には、ジョージア、パナマ、アラブ首長国連邦(UAE)、マーシャル諸島、キルギス、ベラルーシに拠点を置く14の事業者である。これらの事業者と取引した内外の事業者はEUの金融市場から締め出されるため、それが抑制力として働く。
この制裁に先立つ7月21日には、ロシア下院で包括的な暗号資産関連法案が可決されたばかりだった。ロシアが暗号資産の利用にアクセルを踏むと、それにEUがブレーキをかける。いわば「イタチごっこ」のような状況となっているわけだが、ここで、ロシアの事業者による暗号資産を用いた貿易決済の仕組みについて整理してみたい。
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