イギリスの大手金融メディア・フィナンシャルタイムズは、4月6日付で極めて興味深い記事を報じている。ロシアがアフリカで、暗号資産の技術を用いたルーブル決済網の構築を画策しているというのだ。A7と呼ばれる暗号資産ネットワークに基づき、ルーブル建てのステーブルコイン「A7A5」で決済を行うらしい。
ロシアのステーブルコイン「A7A5」とは何か
ここでA7A5について、少し解説したい。この暗号資産は、ロシア国営プロムスビアズバンクが保有するルーブル預金に裏付けられている点が特徴だ。暗号資産であるトロンとイーサリアムのブロックチェーンを利用するかたちで、キルギスのオールドベクター社がA7A5を発行する。2025年1月にスタートし、同年前半に利用が急拡大した。
A7A5はボーダレスな企業間の大規模決済に用いられる、いわゆるホールセール型の暗号資産になる。急速な利用の拡大に鑑みて、アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)が25年8月14日に対ロシア制裁を強化した際、モスクワの暗号資産取引所であるガランテックスやグリネックスと合わせて、A7関連の諸企業を制裁対象に指定した。
ドル建て以外のステーブルコインとしては、A7A5は最大の市場規模まで成長したと言われている。ただし、OFACによる制裁のためにドルとの接合は不可能だし、欧州連合(EU)もOFACと同様の制裁を科しているため、ユーロとの接合も不可能だ。
結局A7A5は、ルーブルを必要とする企業間での決済だけに使われる暗号資産である。
25年12月、エジプトの首都カイロで行われたロシア・アフリカ・パートナーシップ・フォーラムの第2回閣僚会議で、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ロシアとアフリカの貿易の84%がルーブルで決済されていると述べている。ルーブルが本当にアフリカでニーズが強い通貨であれば、A7A5での決済も成立するのだろう。

