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政治・経済・投資 #野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」

時価総額日本一から1カ月で株価半値へ乱高下、「キオクシア相場」が物語るAI時代でも逃れられない半導体業界の悲しき宿命

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キオクシア
一時はトヨタを抜いて時価総額で日本一となったキオクシア(写真:編集部撮影)
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ところが、驚きはこれで終わらなかった。

キオクシアの株価は、6月22日に11万2700円の上場来高値をつけた後、急速に下落した。そして、7月17日には前日比16.2%安の5万2110円となり、ストップ安で取引を終えた。わずか1カ月足らずで、株価は最高値の半分以下にまで下落したのである。

7月17日の急落の直接的な材料の1つは、アメリカでの特許侵害訴訟だった。アメリカ市場でメモリー・半導体関連株が売られたことや、それまで株価があまりにも急速に上昇していたため割高感が意識され、利益確定売りが広がったことも下落要因になったと考えられる。

中長期的な株価の懸念材料として意識された可能性があるのが、韓国のSKハイニックスが発表した大型設備投資計画である。同社は7月2日、韓国の清州にNAND型フラッシュメモリーの新工場「M17」を建設し、約80兆ウォンを投じる計画を発表した。

それまで市場では、AIデータセンター向け需要の拡大に対してNANDの供給が追いつかず、需給の引き締まった状態が長期間続くとの期待が強かった。ところが、SKハイニックスが巨額の増産計画を示したことで、将来は供給不足が解消され、逆に供給過剰に陥るのではないかとの懸念が浮上した。

決して順調ではなかった出発

キオクシア岩手はグループ最大規模の製造棟を構える(写真:編集部撮影)

キオクシアの前身は、東芝の半導体メモリー事業である。

東芝は創業から100年以上の歴史を持つ日本を代表する企業だ。しかし、不正会計問題に加えて、アメリカの原子力事業で巨額の損失を抱え、その後も経営の混乱が続いた。財務基盤を立て直すため、東芝は収益力の高かった半導体メモリー事業を分社化し、投資ファンドを中心とする企業連合に売却した。この事業が現在のキオクシアへとつながっている。

キオクシアの将来は、初めから約束されていたわけではない。半導体メモリーは市況の変動が非常に激しい事業であり、需要が低迷すれば製品価格は急落する。その一方で、新しい工場や製造装置には巨額の資金が必要であり、技術開発競争も絶え間なく続く。

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