受験を見据え、杏さんは小4から、Z会と進研ゼミ中学受験講座の通信教育で勉強を続けていた。ただ、実際に学校を見ないことにはイメージがつかめない。
小6の6月、杏さんは恵さんと2泊3日で、東京と埼玉の3校を見学した。見学の合間を縫って塾の公開模試も受けた。学校の中に入れなくても外から部活の様子を見たり、通学路を歩いたりした。
「まだコロナ禍の影響が残る時期で、見学に制限はありましたが、校舎や制服を見て自分が通うイメージが湧いたようです。最初に見た、都内の女子校が特に印象に残った様子でした」(恵さん)
こうして佐々木さん一家の首都圏での中受参戦は固まった。ただ、受験には不利な環境からの挑戦だった。
学校見学は計3回、1回の費用は10万円—定宿が「東横イン」なワケ
当時、一家が住んでいたのは北海道の人口数万人の町。中学受験塾はなく、一番近い札幌の塾まで約400kmある。同級生は地元の中学校に進むため、一緒に勉強する仲間もいなかった。
駅前に受験塾が立ち並び、小学校のクラスの半数近くが中受する地域もある首都圏と比べると、アウェーからの受験になる。
それでも、竜也さんは前向きに学校の情報を集め、勉強法を検討した。
「当時はコロナ禍で、オンラインでの学校説明会が多く、ありがたかったです。娘のモチベーションを高めるためには『THE名門校』という学校紹介番組が役立ちました。SNSで受験生の保護者コミュニティーも見ましたが、自分たちが学校を見た感覚や、子どもの反応を大事にするのが一番と思います」
上京の際に工夫したのが、学校説明会と塾の公開模試をセットにした日程を組んだことだ。
「3連休など、学校説明会と模試の両方がある日をカレンダーに書き出し、2泊3日でスケジュールを立てました」
東京への学校見学は、計3回行ったが、交通費と宿泊費など合わせて1回で10万円ほどかかったという。
滞在費用をできるだけ抑えるために、大人と添い寝の場合、小学生以下は宿泊無料の東横インに滞在した。
「2人寝るにはベッドが狭いので、親は寝袋を持参して、床で寝ました。無料で朝食もつくし、いいですよ」(竜也さん)

