「そんな入試で本当に合否がつくのか」と思われるかもしれませんが、大学側の評価基準は非常に明確です。「その本を読むべき理由を、論理的かつ説得力をもって説明しているか」「判断に役立つ質問がきちんとできているか」「質問に対して的確に回答するなどのコミュニケーション能力を持っているか」――この3点です。
一点、面白い注意書きが公式サイトに書かれています。「チャンプ本に選ばれることと面接試験の得点は無関係です」。つまり、1位を取ることが目的ではなく、あくまで、本を通じて自分の思考と表現力を見せることが問われている。図書館情報学を学ぶ場としての筑波大学らしい、実に洗練された設計だと思います。
「あなたが何を考え、何を掘り下げてきたか」が問われる
2つ目にご紹介したいのが、関西学院大学の「探究評価型入学試験」です。これは、高校在学中に取り組んだ探究活動の成果とプロセスを、真正面から評価する総合型選抜です。
大学の公式サイトには、こう書かれています。「横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、自ら課題を発見し、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を持ち、多様な人々と協働して学ぶことが出来る方を求めています」――と。
面白いのは、評価される探究活動の"間口"の広さです。授業内の探究学習だけでなく、部活動などの「正課外活動」で行った探究も対象になります。学校内での発表会、ポスターセッション、理科クラブの実験成果の発表なども評価される。第1次審査は、探究の成果物と提出書類による書類審査のみで、第2次審査で面接や口頭試問、プレゼンテーションが実施される、という設計です。
さらに関西学院大学は、探究活動を3つのタイプに分類しています。実験や質問紙調査による新たなデータ収集を重視したタイプ"A"、他者との交流や協働を重視した実践活動タイプ"B"、特定のテーマに関する学術的考察を重視したタイプ"C"。そして公式サイトには、「探究活動タイプの選択が評価に影響することはありません」とまで明記されている。つまり、実験系だろうが人文系だろうが、学生が3年間掘り下げてきた"その一点"を、まっすぐに持ち込んでいい入試なのです。
模試の偏差値や評定平均が主戦場ではなく、「あなたが何を考え、何を掘り下げてきたか」が問われる。これは、コツコツと自分の関心を追いかけてきた高校生にとって、非常に稀有な機会だと言えます。
そして最後に、私が個人的にもっとも"美しい"と感じている入試をご紹介させてください。お茶の水女子大学の「新フンボルト入試」です。
まず、この入試のネーミングからしてただ者ではありません。名前の由来は、近代大学の理念を打ち立てたドイツの言語学者・教育行政官、ヴィルヘルム・フォン・フンボルトです。「知識をいかに"応用"できるかを問う」という理念が、この入試の骨格そのものになっています。
第1次選考は、文系志願者の場合、大学の授業を実際に体験できる「プレゼミナール」に参加し、そこでのレポートによって行われます。理系志願者は出願書類による審査です。ここまでで、すでに他大学の入試とはまったく異なる香りが漂います。
そして第2次選考が、本入試の真骨頂です。文系は「図書館入試」、理系は「実験室入試」――名前の時点で心を掴まれます。


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