図書館入試とは、その名のとおり、6時間もの長い時間を大学の図書館にこもり、与えられた1つのテーマについて小論文を作成するというものです。昼食や休憩も間に挟みながら、書架の間を歩き、資料を集め、思考を深め、書き上げる。単なる知識量の多寡ではなく、その知識をいかに「応用」できるかが、この6時間の中で問われるわけです。
一般入試で試される「制限時間内に既知の解を出す力」とは、まったく違う種類の能力が測られている。むしろ、これは"大学入学後にこそ問われる力"を、入試の段階で見ようとしている試みだと言えます。大学の公式サイトでも、この入試は「風変わりな、しかし受験することで"何かをえられる"入試」と表現されています。この一文には、大学側の矜持が滲んでいます。
「うちの子の"変な趣味"」は、宝の山かもしれない
3つの入試に共通しているのは、「大学が学生に求める資質を、大学の学問領域に忠実な形で測ろうとしている」という点です。図書館情報学の筑波大学は本を通じたコミュニケーションで測り、探究の関西学院大学は探究の成果そのもので測り、リベラルアーツと女性研究者育成のお茶の水女子大学は図書館と実験室での思考力で測る――。どれも、大学の理念と入試方式が、見事に一本の線で繋がっているのです。
冒頭の保護者の方に、私はこう申し上げました。
「本が好きなお子さんが、一般入試の物差しの上では平凡に見えるのは、当たり前のことです。しかし、そのお子さんは、筑波大学の知識情報・図書館学類にとって、まさに求めている学生像である可能性があります」
これは、本が好きな子に限った話ではありません。3年間ひたすら1つのテーマを追い続けた子は関西学院大学の探究評価型で。長い時間をかけて資料と向き合うことが苦にならない子はお茶の水女子大学の新フンボルト入試で。それぞれの子が、それぞれの"性質"を、そのまま入試の武器にできる場所が、日本のどこかに必ず存在しているのです。
大切なのは、それを知っているかどうかです。ここでご紹介した3つの入試も、全国何千通りとある推薦入試のごく一部にすぎません。これから大学入試に挑まれる方も、その保護者の方も、どうか、模試の偏差値表だけを見て進路を決めないでください。
お子さんの"変な趣味"や"妙なこだわり"は、実はもう、日本のどこかの大学が待ち構えている宝物かもしれないのですから。



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