やすおが暮らしていたのは、エメラルドグリーンの海に囲まれた離島。本土とは文化や風習も異なり、そこへ嫁ぐことに不安を抱く女性も少なくなかったのだろう。真剣交際まで進んでも、環境の違いを理由に結婚が決断できない女性もいた。
しかし、彼はあきらめなかった。
そして50歳のとき、17歳年下のゆうこ(当時33歳・仮名)との成婚が決まる。驚いたことに、彼女は同じ島に住む女性だった。全国を飛び回ってようやく巡り合った運命の相手は、実はすぐ近くにいたのである。結婚した翌年には長女が誕生し、その3年後には次女も生まれた。
先日、「東京へ行く用事があるので、久しぶりにお会いしませんか」との連絡があり、5年ぶりに再会した。やすおの顔には5年の歳月が刻まれていたが、その表情は穏やかで幸せそのものだった。
「実は、まだ男の子をあきらめきれなくて。今も妊活をしているんです」
55歳の今も38歳の妻と力を合わせ、2人の娘を育てながら新しい命を授かる日を心待ちにしている。
歳の差よりも大事なこと
もちろん、この夫婦が歩んだ道は誰もが真似できるものではない。経済的な基盤があったからできたのだろう。しかし、それ以上にやすおが素晴らしかったのは、年齢を言い訳にせず、何度断られても全国へ足を運び、ご縁を信じて行動し続けた、その行動力だ。
「おぢアタック」という言葉だけが独り歩きすると、「年上男性が若い女性にアプローチすること自体が、時代遅れだ」「いい年をして見苦しい」といった単純な図式で語られがちだが、成功例があることも事実だ。
相手の心を動かすのは年齢でも資産でもない。相手への敬意と信頼、そして「この人と人生を築いていきたい」という覚悟なのではないだろうか。

