ここで、もっとも重要なことは、バブルの連鎖メカニズム、あるいはバブルの遷移メカニズムである。大変興味深いのは、次から次へのバブルは移っていき、新しいバブルが形成されていくのだが、そのときに、以前のバブルは必ずしも一気に崩壊せず、じわじわとしぼむ、乱高下が多少ある場合もあるが、多くは、単に株価が上昇しなくなり、そもそも動きも少なくなり、だらだら下がっていく、あまり動かなくなる、つまり、これらの株は暴落するのではなく、退屈化するのである。
これは、まさに群がるターゲットとして、魅力がなくなり、皆が飽きてしまい、次に移るのだが、そこの株を全部売り払うわけではなく、信用買いについては手仕舞うとしても、現物は含み益を残したまま、その含み益を財務的にも心理的にも利用して、次の「群がりターゲット」への買いに突っ込んでいくのである。
だから、相場全体は上昇、膨張を続ける。個々人、個々のファンドの投資余力は増え続けているから、次のバブルターゲットへの突っ込み方は前よりも派手になる。すでに儲かっているから、少しの儲けでは興奮しないこともあって、派手に、大胆に、雑に、突っ込んでいく。だから、あとからあとからバブルになる銘柄は変わっていくが、あとのバブルほど、乱暴に上がっていくのである。GAFAMよりもテスラ、テスラよりもエヌビディア、エヌビディアよりも、SKハイニックス、キオクシアホールディングス、という具合である。
株式バブルと事業バブルが相乗効果でバブルを生む
個別株の時価総額、あるいは市場全体の時価総額が膨張するメカニズムも類似しているが、相乗的な効果を持つ。
株価というのは、すべて端パイで決まる。どういうことかと言うと、最後に勝った人の価格で決まるから、上昇局面では、最後にもっとも高い値段で買った人の価格で、すべての株式が評価される。
だから、最後に超強気の人が1株買って、ほかの人は、「えーその値段では買わないけど……」という異常に高い価格ですべての株式が評価され、異常な時価総額になるのである。じゃあ、その株価でなぜ売らないのか、というと、買う人は1株だけだから、みんなが売れるわけでもないし、自分の株を売りつけられたとしても1000株のうち、1株高く売りつけられても大勢に影響はなく、もう一人強引に1株売ろうとして値崩れしたら、全員、自分も保有株式の時価総額が減ってしまうので、無理はしない。買いと売りの意思決定は非対称なのである。
なので、株式市場は買いが売りよりもおおむね常に強く、かつ、超強気の人の値付けが反映されるため、ほぼ常に割高に評価される。バブルという超上昇局面ならなおさらである。
しかし、1株を最後に異常な高値で買った以外の株主は、高くなった保有株式の評価額を利用して、財務的にも、心理的にも、さらに次の投資に向かう。あるいは、自社株なら、その財務的な評価を元に、実体経済における事業を拡大する。ということで、株式市場バブルは実体経済バブル、事業バブルとなり、AIバブルが半導体、データセンターバブルとなり、「こちらは実需で収益も上がっているからバブルではない」、という理屈づけで、半導体、データセンター、ハイパースケーラーの株価もバブルになり、株式バブルと事業バブルが相乗効果でバブルがバブルを生むのである。

